SCENE 2

  9月某日 深夜

家に帰ると珍しく酒のアテが用意してあるではないか。
「おっ!心を入れ替えたんか?」と甘い考えは

ほんの数日後には跡形もなく吹き飛んでしまうのは言うまでもない。
数日後に帰宅するとお金の入った封筒を手渡され「これで住むとこ探しや」とありがたいお言葉。さすが嫁ハンやる事に無駄がないっ!
しかしその金はワシの生命保険を解約した一部やと知ったのは数日後。
「勝手に解約すなー!」と思いつつも嫁の性格を考えれば
当たり前のことやった。

ワシから出て行く言うた手前、嫁の言う事には一応スジが通っている。

家のローンと名義はワシのモンなんやけど・・・・そんなんはおかまいなしか?

しかし目先の金に目がくらみ受け取ってしまい、次の日には市役所に「離婚届の

用紙下さい」と窓口の女性に申し出る。
ご丁寧に書き方を教えてくれるが「もう何べんも書いてます」とも言えず、「おおきなお世話じゃっ!」とも言えず素直に教えてもらうフリをした。